スマートな移動手段として注目を集める電動キックボード。「乗ってみたいけど免許が必要？」「どんな条件で乗れるの？」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

朗報です！2023年7月の法改正により、条件を満たした電動キックボードなら、16歳以上であれば免許なしで公道を走行できるようになりました。

この記事では、免許不要で乗れる電動キックボードの条件や選び方、安全に乗るためのポイントを徹底解説します。

免許取得の手間なく、環境に優しい新しいモビリティライフを始めるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

免許不要になった電動キックボード—法改正で何が変わった？

2023年7月1日に施行された改正道路交通法により、電動モビリティの位置づけが大きく変わりました。

それまで電動キックボードはすべて「原付バイク」と同じ扱いで、運転には原付免許または自動車免許が必要でした。

しかし、法改正により「特定小型原動機付自転車」という新しい区分が創設され、一定の条件を満たす電動キックボードは16歳以上であれば免許不要で乗れるようになったのです。

この法改正の背景には、環境負荷の低減や交通渋滞の緩和、ラストワンマイル問題の解決など、持続可能なモビリティ社会の実現という目的があります。

また、自転車と同程度の速度域で走行する電動キックボードに対して、バイクと同等の免許を求めることへの疑問の声も大きくなっていました。

もっとも重要な変更点としては、特定小型原動機付自転車に分類される電動キックボードは、次のような特徴があります：

• 16歳以上であれば運転免許不要
• ヘルメット着用は努力義務（法的義務ではない）
• 保安基準を満たし、ナンバープレートと自賠責保険は必要

ただし、これらの緩和された条件は「特定小型原動機付自転車」に該当する電動キックボードのみに適用されます。

そうでない電動キックボードは、従来通り「一般原動機付自転車」または「自動車」として扱われ、対応する免許が必要となります。

免許不要の電動キックボードの条件—「特定小型原動機付自転車」とは？

では、免許不要で乗れる「特定小型原動機付自転車」の条件とは具体的に何でしょうか。

次の基準をすべて満たす必要があります：

車両の規格条件

• 最高速度：20km/h以下
• 定格出力：0.6kW（600W）以下
• 車体の大きさ：長さ190cm以下、幅60cm以下
• 重量：40kg以下

安全装備の条件

• 前照灯（ヘッドライト）
• 尾灯（テールランプ）
• 制動灯（ブレーキランプ）
• 方向指示器（ウインカー）
• 反射器（リフレクター）
• 警音器（ホーン）
• 制動装置（ブレーキ）
• 最高速度表示灯：歩道走行モード（6km/h以下）時に点滅する緑色のランプ

これらの保安基準を満たした電動キックボードには、「性能等確認済シール」が貼付されているケースが多く、購入時の目安になります。

国土交通省のウェブサイトでは、基準を満たした電動キックボードの型式リストも公開されているので、確認してみるとよいでしょう。

もし上記の条件を一つでも満たさない場合、その電動キックボードは「一般原動機付自転車」または「自動車」として扱われ、原付免許または二輪免許が必要になります。

形状が電動キックボードであっても、最高速度や出力などの条件によって必要な免許が変わることに注意が必要です。

「特定小型原動機付自転車」の交通ルールと罰則

免許不要になったとはいえ、電動キックボードは「車両」として道路交通法に従う必要があります。

知っておくべき重要なルールと違反時の罰則を見ていきましょう。

基本的な交通ルール

• 年齢制限：16歳未満の使用は禁止
• 走行場所：車道の左側を走行（右側走行は禁止）
• 自転車道：通行可能
• 歩道：基本的に通行禁止（特例あり）
• 走行速度：最高20km/h以下
• ヘルメット：着用は努力義務（安全のため着用推奨）
• 二人乗り：禁止
• 飲酒運転：禁止
• ながら運転：禁止（スマホ操作など）

特例特定小型原動機付自転車について

特定小型原動機付自転車の中でも、歩道走行が可能になる「特例特定小型原動機付自転車」という区分もあります。

これは、最高速度表示灯を点滅させることで、構造上6km/h以下の速度しか出せないようになっているモデルです。

この特例に該当する電動キックボードは、「普通自転車等及び歩行者等専用」の標識がある歩道のみ、歩行者の通行を妨げないように通行することができます。

ただし、最高速度表示灯が装備されていないモデルは、この特例の対象外となります。

違反した場合の罰則

電動キックボードでのルール違反も厳しく取り締まられます。主な違反と罰則は以下の通りです：

• 飲酒運転：3年以下の懲役または50万円以下の罰金
• 一時不停止：5,000円の反則金（交通反則通告制度の対象）
• 信号無視：7,000円の反則金
• 二人乗り：2万円以下の罰金
• ながら運転：5万円以下の罰金
• 無保険運行：1年以下の懲役または50万円以下の罰金

免許不要とはいえ、違反行為に対する罰則は軽くありません。安全運転と交通ルールの遵守を心がけましょう。

公道走行のための準備—ナンバープレートと自賠責保険

免許不要の電動キックボードでも、公道を走行するためには「ナンバープレート」と「自賠責保険」が必要です。

これらの取得方法と費用について見ていきましょう。

ナンバープレートの取得方法

電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車には、一般原付よりもコンパクトな専用ナンバープレート（縦横10cm）が用意されています。

取得手順は以下の通りです：

1. 必要書類の準備：
   
   • 標識交付申請書（市区町村の役所で入手可能）
   • 車体の写真（前後左右の4方向）
   • 車体の仕様書（メーカー発行）
   • 本人確認書類（運転免許証など）
   • 販売証明書または譲渡証明書
   • 自賠責保険証明書
2. 市区町村役所での手続き： お住まいの市区町村の役所（税務課など）で申請手続きを行います。
   
3. 軽自動車税（種別割）の支払い： 年間2,000円程度（自治体によって異なる）
   

自賠責保険の加入方法

自賠責保険（自動車損害賠償責任保険）は、万が一の事故の際に被害者を救済するための強制保険です。

• 加入場所：損害保険会社や代理店、郵便局など
• 必要書類：電動キックボードの車台番号・型式など
• 保険料：1年で7,500円程度（2024年4月からは特定小型原動機付自転車専用の保険料が適用）

なお、自賠責保険は最低限の補償しかカバーしていないため、より手厚い補償を希望する場合は、任意保険への加入も検討するとよいでしょう。

免許不要の電動キックボード選びのポイント

免許不要で乗れる電動キックボードを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。

初心者の方でも失敗せずに選べるよう、ポイントを解説します。

1. 保安基準適合の確認

最も重要なのは、特定小型原動機付自転車として保安基準を満たしているかどうかです。

購入時には以下のいずれかを確認しましょう：

• 「性能等確認済シール」が貼付されているか
• メーカーが「特定小型原動機付自転車」として認証を受けているか
• 国土交通省の「保安基準適合性等が確認された特定小型原動機付自転車の型式」リストに掲載されているか

保安基準を満たしていない電動キックボードは、いくら「免許不要」と宣伝されていても、実際には公道を走行できず、乗れば違反となるため注意が必要です。

2. バッテリー性能と航続距離

電動キックボードの実用性を左右する重要な要素が、バッテリー性能と航続距離です。

• 航続距離：日常的に使用する距離の1.5倍程度の航続距離があるモデルを選ぶと安心
• 充電時間：フル充電にかかる時間（3〜8時間が一般的）
• バッテリー取り外し：予備バッテリーと交換できるモデルは便利

こまめな充電が億劫なら、1回の充電で30km以上走行できるモデルを選ぶのがおすすめです。

3. 重量と持ち運びやすさ

電車との併用や階段の上り下りが多い場合は、軽量でコンパクトに折りたためるモデルが便利です。

• 重量：15kg未満が持ち運びやすい目安
• 折りたたみ機能：簡単に折りたためるかどうか
• 収納時のサイズ：コンパクトに収まるか

ただし、軽すぎるモデルは安定性に欠ける場合もあるため、用途に応じて選びましょう。

4. タイヤとサスペンション

乗り心地や安全性に直結するのが、タイヤとサスペンションです。

• タイヤサイズ：大きいほど安定性が増す（8インチ以上推奨）
• タイヤ種類：エアタイヤ（乗り心地良い）とソリッドタイヤ（パンクなし）の選択
• サスペンション：前輪・後輪またはその両方にあると乗り心地が向上

乗り心地のよさで選ぶなら、10インチ以上のエアタイヤ採用の商品がおすすめです。舗装状態の悪い道を走行する機会が多い場合は、サスペンション付きのモデルを選ぶと快適です。

5. 価格帯とコストパフォーマンス

特定小型原動機付自転車として認証された電動キックボードの価格帯は、主に以下の3つに分けられます：

• エントリーモデル：5〜8万円程度
• ミドルレンジモデル：8〜12万円程度
• ハイエンドモデル：12〜20万円程度

価格を抑えつつ必要な機能を備えたモデルを探している初心者には、重量13.8kgと軽量で、コスパに優れる6万9800円程度の車体価格が魅力的なライトユーザー向けモデルがおすすめです。

安全に乗るための心得—初心者必見のアドバイス

最後に、電動キックボードを安全に楽しむための心得をご紹介します。特に初心者の方は、以下のポイントに注意して乗りましょう。

安全装備の準備

• ヘルメット：法的には努力義務ですが、安全のために必ず着用しましょう
• プロテクター：手首、肘、膝のプロテクターがあると安心
• 反射材：夜間の視認性を高めるため、反射材付きの服装を心がける
• 滑りにくい靴：足元が安定する靴を選ぶ

練習は安全な場所から

初めて電動キックボードに乗る際は、いきなり公道に出るのではなく、以下のステップで練習するのがおすすめです：

1. 広い駐車場などで基本操作を練習
2. バランスの取り方に慣れる
3. 発進と停止の練習
4. ゆっくりとした速度で旋回の練習
5. 徐々に速度を上げて感覚をつかむ

公道デビュー前に、十分に操作に慣れておくことが大切です。

日常的なメンテナンス

電動キックボードを長く安全に使うためには、定期的なメンテナンスが欠かせません：

• タイヤの空気圧チェック（エアタイヤの場合）
• ブレーキの効きのチェック
• ボルト類の緩みチェック
• バッテリーの適切な充電管理
• 雨天走行後の水分拭き取り

特にブレーキ系統は安全に直結するため、定期的な点検が大切です。

免許不要の電動キックボードで広がる新しい移動の自由

2023年7月の法改正により、特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードは、16歳以上であれば免許なしで乗れるようになりました。

この変更により、より多くの人にとって電動キックボードが身近な移動手段となっています。

免許不要とはいえ、ナンバープレートと自賠責保険は必須であり、道路交通法に従った安全な走行が求められます。

適切な条件を満たした電動キックボードを選び、正しいルールを守って乗ることで、環境に優しく効率的な新しいモビリティライフを楽しめるでしょう。

電動キックボードは単なる移動手段を超えて、快適で楽しい体験を提供してくれます。

この記事が、あなたの電動キックボード選びや安全な利用の一助となれば幸いです。